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 キャノピーマネジメント(canopy management)

ここでいうキャノピーとは葉っぱを指して言っています。ですからキャノピーマネジメントとは葉っぱの管理、ということになります。キャノピーマネジメントを理解する前提として、マイクロクライメット(micro climate) の概念についてお話しましょう。

マイクロクライメットは日本語では超微気候あるいは局所気候などと訳されています。これはぶどうの木のある部分の周辺、せいぜい数10センチ程度の範囲の小さな範囲の気候のことを指しています。ですからマイクロクライメット(超微気候)です。

マイクロクライメットの概念は今でもよく誤解されて、もう少し大きな範囲の気候、たとえばぶどう園規模程度の大きさの気候に対して使われたりしていますが、こちらのほうはメソクライメット(meso-climate)、あるいはサイトクライメット(site-climate)と言っています。またそれよりも広範囲の気候についてはマクロクライメット(macro-climate)とかリージョナルクライメット(regional climate)と言われます。

あとの二つ、すなわちサイトクライメットとリージョナルクライメットは人間の手ではコントロール不可能ですが、マイクロクライメットはコントロール可能な点で大きく違います。キャノピーマネジメントとはこの局所的な気候、ぶどうの環境を人間の手でコントロールすることによりぶどうの質を高めようという手法です。

ぶどうは春になると芽を出して、そこからツルが伸び、葉が茂り実をつけ、秋になって色づいた実を収穫すると葉は落ち冬の休眠期を迎えます。キャノピーマネジメントはこの間のぶどうの木に葉っぱが茂り、ぶどうの実が熟していく過程で行われます。具体的には枝から出ているツルを間引いたり、ツルの長さを短くしたり、ぶどうの実の周りに茂りすぎている葉っぱを取り除いたり、あるいはツルを上のほうに持ち上げるなどしてぶどうの実をより太陽に露出してやる作業などです。

ではなぜこういうことをするのでしょうか。ぶどうのツルはどんどんその勢いを増して成長していきます。それと一緒に実のほうも成長していくわけですが、どうしてもぶどうの実、つまり房は葉っぱの陰に隠れがちになります。葉っぱにとっても光合成をしてどんどんエネルギーをつくっていかなくてはならないので太陽の光はとても大切なのですが、ぶどうの実にとっても太陽の光を受けるというのは実をより成熟させるうえで大切なことなのです。

葉っぱが密集した中におかれたぶどうの房の環境は、葉っぱの陰になって光が届きにくく、しかも湿気のこもったじめっとした環境になりがちです。こうした環境はぶどうの成熟を阻害するだけではなく、湿気によるカビをはじめとする微生物や昆虫などの繁殖を促進させることにもなります。

こうした環境は房の周りで起こっているきわめて局所的なものです。房の周りの環境を葉っぱの密集状態を改善することによって変えてやると、房には太陽の光が届きやすくなり、同時に空気の流れがよくなって湿度の状態が改善され病気の発生も抑えられるというわけです。したがってその結果として健全でよく熟したぶどうが収穫できるのです。一連のこうしたぶどうに対する施策をキャノピーマネジメントと言っています。

キャノピーマネジメントは、狭い意味では春にぶどうの芽があらわれてから秋の収穫までの間のぶどう管理を指しますが、広い意味では、ぶどう栽培では非常に重要な意味を持つ冬場のプルーニング(pruning:剪定)、さらにはその前の段階であるどうぶどうを仕立てるかという仕立て方(trellis systems:トレリスシステム)の決定の段階から関わるブドウ栽培の大きな流れととらえることもできます。

一連のキャノピーマネジメントの実際は、労働集約的で費用もかかります。そのため、それをやればよりよいということは認識していても、必ずしも現実問題としてはきちんと実施されない場合も見受けられます。キャノピーマネジメントに限らず、ぶどう園での一年を通しての施策は、出来上がったボトルに詰まったワインを商うマーケットではあまり目が向けられる部分ではありませんが、実はこのぶどう園の部分にこそワインの根源があるのです。


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